シマノとスラムの変速性能
ネットでコンポの変速性能について調べると、必ずと言っていいほどシマノが絶賛されている。
シマノの変速性能は世界一、などというフレーズを毎回のように見る。
本当なのだろうか?
シマノはティアグラ、スラムはライバルしか持っていない身としては上位グレードについて口を挟むべきではないのかもしれない。
"人々はシステムの末端を通してシステムを認識し、理解する"とはよく言ったものだ。(注1)
今回の場合はコンポの変速性能を変速システムであると考え、その末端とはつまり下位グレードのどれかとする。
では末端とはなにか。
シマノではティアグラよりも下位のソラやクラリスがある。
一方スラムはライバルの下にアペックスしかない。
シマノの下の下とアペックスを比べるのは末端という単語を額面通りに受け取りすぎていてナンセンスだ。
つけられている価格から考えると、おそらくティアグラとアペックス、105とライバルを比べるべきなのだろう。
しかしひとつ言わせてもらえば、私はライバルコンポをネットでのティアグラと同じぐらいの値段で入手した。(注2)
この記事は単なるティアグラとライバルの比較だと思って欲しい。
ということでティアグラとライバルの変速性能を比べてみようと思う。
変速性能とはなにかというところから始めないといけない。
変速とはギアの切り替えのことである。
フロント2枚リア10枚なのはティアグラもライバルも同じなので比べるには都合がいい。
では性能とはなにか。
変速性能なんたらと書かれている文章を読む度に、お前の言う性能ってなんだよという感想を抱く。
便宜上今回は自分の意図した変速を行えるかどうかを性能として扱う。
まずはフロントの変速性能。
ティアグラもライバルも同じくコンパクトで同じクランク長だから条件は近い。
アウターからインナーはどちらもあまり違いを感じないが、インナーからアウターの変速速度はライバルの方がはやい。
ダブルタップレバーを押しこめばすぐに反応してアウターに切り替わる。
一方ティアグラはレバーを押し込んでから一拍おいてからギアが切り替わる。
ではインナーからアウターのフロント変速性能はライバルの方が良いのか?まだそうとは言い切れない。
というのも、ダブルタップレバーだとダブルどころかトリプルクリックするまでレバーを押しこむ必要がある。
ここでアウターに切り替えるぞ!と思って中指でレバーを押し込んでも変速できないことが多々ある。
間違ってフロントを変速してしまわないという点では良いことなのかもしれないが、確実にマイナスポイントだ。
一方ティアグラはブレーキレバー全体を横に2クリック押せばいいだけなので、変速したいときに必要なだけワイヤーを引ける。
結論。
どっちもどっち。
変速性能とは関係ないが、ティアグラにはトリム機能がある。
ライバルにはないが、ライバルはアウターの時はトリムする必要がない。(注3)
ティアグラもライバルも本当にどっちもどっちで正直どうでもいい。
ティアグラは秀才だが伸びしろがなく、ライバルは天才だが方向性間違ってるような感じ。
次にリアの変速性能。
シフトアップはどちらも快適。
しいていえば変速レバーが広く、カンパのように前後に動かせるという点でライバルが優れている。
一方シフトダウンはどちらもクセモノ。
ワイヤーを引っ張りるだけならティアグラの方が優れている。
しかし、引っ張り方がいい加減すぎる・・。
私の調整が悪いのか知らないが、快適に少ギアへシフトアップができるようにワイヤーを張ると、シフトダウンのクリック音と違うところで大ギアへシフトダウンする。
具体的にいえば1クリック目だと反応なし、2クリック目で1ギア下がる、3クリック目で2ギア下がる、といった感じ。
中途半端にワイヤーを引っ張ってしまうから、シフトダウンしてからシフトアップしようとするとほぼ確実に空振り。
上位グレードだとこんなことにはならないのだろうか?(注4)
逆にライバルはワイヤーがそもそも引きにくい。
ダブルタップなので、レバーを押して2クリックしたところで1ギアダウンする。
3クリックで2ギア、4クリックで3ギアダウンする。
正直なところ、4クリックとか舐めてるとしか思えない。
中指だけじゃそんなに押せない。
しかも押せば押すほどワイヤーテンションがあがって硬くなる。
ちなみにワイヤーの引き量は適正みたいでちゃんと空振りせずにアップもダウンも1ギアずつ行える。
結論。
どっちもどっち。
ティアグラとライバルどちらにも問題があるが、上位グレードだと解決されているのかが気になる。
店頭で触ってみた感じどっちも解決してない気がする・・。特にスラム。
シマノはDi2なら大丈夫なはず。
スラムはがんばれ。
総括。
どっちを選んでも微妙。
下位グレードだから仕方ないのかもしれない。
何が良いとかより、どの欠点なら受け入れられるかを考えるべき。
個人的には、頻繁に3ギア一気に落としたりするならシマノ、1-2ギアまでしか一度には落とさないならスラムをオススメする。(注5)
(注1)
アニメサイコパスのセリフ。
(注2)
CRCでのティアグラグループセットは426カナダドル。
私はオルベアオルカブロンズのライバルWiFLi編成を1200USDで入手した。
コンポ以外の値段を考えてもライバルの方が安いぐらいである。
ライバル編成といってもオルベア印のキャリパーブレーキとアペックスクランクだが・・。
それでもティアグラと同等の性能でそれ以下の値段ではあると思う。
WiFLiとはWider Faster Lighterの略で大歯数32Tのカセットをミディアムケージリアディレイラーで運用しているもののこと。
ショートケージと違ってチェーンも長くなり、変速性能が落ちるらしい。
が、スパスパと変速が決まるので特に気にしていない。
(注3)
正確にはアウターの状態から内側にトリムすることはできる。
しかし必要がない。
アウターの状態だとリア10ギア全てがFDに干渉することなくスムーズに使えるからだ。
おそらくBB30と組みあわせている為。
BBの横幅がせまいからアウターリングがカセットのちょうど真ん中に位置しているのではないかと思う。
一方インナーの状態ではリアトップ2枚ぐらいがFDに当たる。
いろいろ試したが、どうやら特にトップ1枚はFDにチェーンを当てないとチェーンリングにチェーンが当たる。
わざとFDに当ててチェーンリングとの干渉を避けているようだ。
(注4)
ブレーキレバーでクリック音がする時にシフトダウンするように調整することもできが、その場合はシフトアップの反応が遅くなる。
フロントの変速が一拍おいてから行われるのもそうだが、ティアグラは入力をしてから出力までが遅い。
入力がしにくいが出力がはやいライバルと、入力がしやすいが出力までが遅いティアグラといったところか。
(注5)
変速性能においては総括で述べた通りにオススメをするが、ブラケットの形状なんかもシマノとスラムで全く違う。
シマノは下位グレードだとブラケット形状がいい加減。
スラムは下位でも上位とほぼ同じブラケット形状。