toraの日記

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問題解決学習とワークライフバランス

自分の行く会社は問題解決こそが仕事と言っているらしい。毎年行われているインターンでは参加者に課題を丸投げして個人で何をどうやったらいいのかを考えさせる形式をとっているらしい。この問題解決という考え方、実はジョン・デューイから来ている。個人で問題解決をさせる問題解決学習についてこう書かれている。

知識を注入するだけの教授法、系統学習に対して、学習者の生活や要求に応じ、日常的な生活事態を足場にして、問題解決problem solvingを行わせ、学習者の諸能力を高めようとする方法で、人間が問題場面に遭遇したとき、問題解決のための思考に対応する学習指導の過程が重視される。すなわち(1)問題の明確化、(2)問題解決に必要な情報の収集、(3)解決可能な仮説をたてる、(4)多様な仮説のなかから適切な仮説を選び出す、(5)実際に仮説をテストして検証する、などである。しかしその過程は多様で、一定した様式はない。

このパラグラフにデューイ思想のキーとなる点がいくつか見られる。

今回注目したいのはワークライフバランスという考え方への否定。ワークとライフ、仕事と私生活のバランスを取るという考え方がワークライフバランスというもの。一方デューイ思想では日常生活が問題解決に必要なものであると考える。このパラグラフでは5ステップでの問題解決の例が出されているが、以下の2点で主に私生活が仕事にもたらす利点がある。

(1)問題の明確化

問題を明確にすること、つまり問題とは何かと考える事である。だが問題について考える前に問題がなくてはいけない。日々の仕事では問題を問題として認識できない。問題を明確化するには日常生活から得た考え方や視点といった価値が必要である。

(3)解決可能な仮説をたてる

仮説を立てるには理想が必要だ。これは今取り組んでいる問題をどう解決するのが良い解決なのだろうかと考える必要があるからだ。理想は仕事からでは学べない。私生活から学ぶほかない。

だが、こういった問題解決をなりわいとした仕事はストレス耐性が要る。

そして新しい事態のなかで難点が解明され、混乱が整理され、障害が克服され、反省的思考によって提起された問題が解決される。したがって問題解決における反省的思考の機能は、あいまいと疑いと葛藤(かっとう)と不安とがある程度経験される事態を、脈絡のある安定した調和のある一つの事態へと転換することにある、と[デューイは]いっている。

問題解決は先が見えない中で仮説を立て検証することの繰り返しになる。何が正しさというものがないなか手探りで取り組むしかない。あいまいと疑いと葛藤と不安というのは問題解決をする人にとって常に付きまとうものだと思う。

 

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