toraの日記

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哲学は役に立つのか

就職活動中でたまに聞かれた質問に、"あなたの勉強していることはどう社会に役に立っていますか?"というものがある。まずこの質問への疑問を投げかけたい。他のことも追加で書きたかったが、書いてみたらめちゃくちゃ長くなりそうだったから前半だけで打ち切り。

哲学は社会にどう役に立つか。まずは問題を分析していこう。この文には以下の構成要素がある。

哲学(は)

社会(に)

(どう)役に立つか

まず、これらの構成要素は文字である。そして、これらは質問者の意図(sense)を表すものである。最後に、意図が指し示すものが在るかどうか、この3点を考えなければいけない。文章がTrueになる時、文字は意図が指し示すものを参照(refer)できなくてはいけない。 結論から言うと、これらの構成要素は全て質問者の意図を表せていない。

第一に、"哲学"とはなんだろうか。学問だろうか。それとも哲学を学ぶことを指しているのだろうか。この質問は面接というコンテクストで行われたことを加味しても、文字の意図がよくわからない。

第二に、"社会"という文字はなにを意図しているのだろうか。日本社会だろうか。キャリアフォーラムが行われたアメリカ社会のことだろうか。カナダだろうか。それとも世界中の社会をまとめた上位社会とも呼べるものを指しているのだろうか。

第三に、"役に立つ"という単語は、というかそもそも動詞は物と物の関係性を表すもの。今回の動詞は哲学という物と何かとの関係性を示す意図で使われたのだと思うのだが、関係先の物がわからない。AがBの役に立つとはいうが、Aが役に立つという言葉の使い方は一般的な使い方から逸脱していると思う。

これら3つの構成要素を検証してみた結果、文字に込められた意図が不明瞭であることが分かる。意図が不明瞭であるということは、意図が指し示す参照先(referent)がどれなのかがわからないということ。つまり文そのもの真理値がわからないのだ。反証ができないということ。

哲学が役に立つと仮定した場合、2つのアプローチが考えられる。1つは哲学は役に立つんだと主張するアプローチ。もう1つはそもそも役に立たなくていいと主張するアプローチ。後者は、そもそも大学で学ぶことなんてどれも役に立たないじゃないかというポジションをとることができる。

前者なのだが、哲学がそもそも何を指し示しているのかがわからないのでかなりアプローチしにくい。どういった解釈が考えられるだろうか。まず、哲学という学問を指し示していると考えられる。この場合、学問とはなんなのかがよくわからないところだが、一番気になるのは哲学の題材を指し示しているのか、それとも哲学の題材にアプローチすることをなのかがとても気になる。哲学は特に時代によって題材が変わる学問だから、いつの哲学のことを指しているのかも気になる。

次に、哲学を大学で学ぶことを意味しているとも考えられる。この場合は哲学を学ぶ学生同士がキャンパスで同じ時間を過ごすことに意味が出てくる可能性がある。とりあえず、哲学がなんなのかという解釈によって答え方が(文の真理値が)かなり変わってくるということ。 質問を構成する単語の意図がわからないのだから、そもそも大学で勉強することなんてどれも役に立たないと主張するのが手っ取り早いのは確かかもしれないが・・・・・・・・・・・・・・。